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休職者の取扱い

2016年02月22日

こんにちは。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。


今回は、「休職者の取扱い」をテーマにお話させていただきます。

「うつ病で休職中の従業員がいるのですが、一向に快方に向かっていないようです。
復職は厳しいかと思うのですが、どうすればいいでしょうか?」

このようなご相談をよく受けます。
というのも、復職をめぐってよく労使の間でトラブルになるからです。

病気が治らない(働けない)のであれば、当初の労働契約で約束された労務の提供が
できないのだから辞めて欲しいと思っている会社側に対し、
 
うつ病なったのは、そもそも会社のせいなのに、どうして辞めなければならないの?
この状況で職まで失い経済的に不安定になったら余計に病状が悪化してしまうじゃない!!
と必死で抵抗しようとする従業員。

立場の違いゆえ、相互の利害が対立するよくあるケースではあります。


このようなトラブル回避のために、会社は、休職者の取扱いについて、就業規則に
きちんと規定しておく必要があります。

通常、休職期間や休職期間満了時に復職できる状態でない場合の取扱い等について
就業規則の規定に則って進めていくことになります。

復職できない場合は、「解雇」とすることも考えられますが、「解雇」とすると、
解雇の合理性や通知日によっては解雇予告手当の問題が生じることから、多くの会社では
「自然退職」としています。

「自然退職」としていても、争いが生じた場合、その効力において復職できない判断の
合理性は問われるため、主治医や会社指定の医師の意見を聴取した上での判断が一般的です。


交通事故による骨折などとは違い、いつ頃治るのか、完治するのかさえ分からないような
精神疾患による休職の場合、就業規則の休職規定はとても大きな役割を果たすことになるので、
御社の就業規則を改めてご確認ください。


● 編集後記 ●

就業規則に「休職の期間」について定めているにも関わらず、休職期間満了後も雇用し続けて
いるケースがよく見られます。

事業主としては、休職期間満了だけど、今、辞めてもらうには忍びない。
とりあえず、様子を見よう。もう少し待ってみるか・・・。という温情かもしれませんが、
かえってその温情が仇となるケースもあります。
結果として復職できなかった場合、「休職期間満了による自然退職」としての根拠付ができなくなります。
ハローワークに提出する離職証明書の離職理由は、「休職期間満了による退職」とする場合、
その証拠として、就業規則の規定箇所の添付を求められ整合性を確認されるので、ご注意ください。

 

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