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給与の締日と支給日を変更する際の留意点

2022年06月08日

こんにちは。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。

今回は、「給与の締日と支給日を変更する際の留意点」をテーマにお話させていただきます。

最近、弊社の関与先で、給与支給日を変更した先が立て続けに2件ありました。
両社とも同業種で、末締・翌月末日支払いの会社です。
つまり、4月に入社したら最初にもらえるお給料が5月31日になるわけです。
賃金の支払いについては労働基準法で、
「毎月払いの原則」がありますが、労働基準法に抵触しない中での最も遅い支払いサイクルになります。
ただ、新たに入社した方で、ギリギリの生活でやり繰りしている人にとっては、入社して丸2ヵ月経たないと給与がもらえない。というのはかなり酷なようで、これまでも個別に対応していたケースもあるといったことが、今回変更にいたった主な理由です。

今回のケースの場合、締日は同じで支給日を早めるパターンでしたので、従業員側には何らデメリットはなく、スムーズに導入できたのですが、
締日・支払日ともに変更する場合、状況よっては、大きく従業員の方の生活に影響を及ぼす可能性があります。

締日・支払日を変更する場合、
毎月払いのサイクルが崩れなければ、変更自体は労働基準法に抵触するものではありませんが、以下のことに留意する必要があります。

・就業規則を変更し、従業員に事前に伝えておくことで、従業員にあらかじめ備えをしてもらうこと。
・変更月を賞与支払月に合わせて、従業員の負担を軽くするよう努力すること。
・場合によっては、無利子の貸付制度を設ける。

この点に留意して導入すれば、最初の導入時は、給与の日割り計算などが生じ、若干、煩わしい点もありますが、翌月からは何ら問題なくスムーズにいくでしょう。

間もなく、算定基礎届の時期がまいりますが、算定基礎の計算対象期間である4・5・6月は、事務の煩雑さの点からも避けたほうがいいかもしれません。


● 編集後記 ●

この仕事をしていると、多くの従業員の方が、入ってくる給与を充てにして、住宅ローンや、家賃支払いなどの計画を綿密に立てていることが感じ取れます。
よって、給与の支給日が遅れることは、死活問題となる方も少なくないようです。

事業主ご自身の金銭感覚で、給与1ヵ月分ぐらい多少後になろうが、貯金があるだろうから、何ら問題ない。と考えるのは危険ですので、お気を付けください。(^_-)-☆

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