HOME  > コラム  > メルマガ  > 解雇を要求してくる社員への対応

解雇を要求してくる社員への対応

2016年06月20日
こんにちは。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。

今回は、「解雇を要求してくる社員への対応」をテーマにお話させていただきます。

「解雇」とは、会社が一方的に労働契約を解約することを意味します。
しかし、最近、会社側に対して解雇を要求してくる問題社員の話をよく聞きます。
もちろん、その多くは退職をめぐってトラブルになったケースです。

これまで実際にあったケースをデフォルメして1つご紹介させていただきます。

普段から、折が合わないA部長とB君。
ふとしたことから言い争いになり、B君がA部長に掴み掛り殴ってしまいました。
社内は騒然。事の経緯からするとB君に非があったのは、周知のごとくでした。
自分の言い分を分かってもらえず、業を煮やしたB君は、
「こんな会社、やってられるか!!」
と啖呵を切って、会社を飛び出したまま翌日以降出社してきませんでした。

社長は、いつまでも出社してこないB君に対して、「辞めるつもりなら退職届を提出しなさい。」とメールや電話で何度も促しますが、本人は、「退職届は出すつもりはない。会社から解雇されるのを待っている。」
の一点張りでした。

この手のパターンはよく見受けられることなのですが、
「自分はもう会社には残れない。残れないのであれば、ただでは転ばない。自分から易々と退職届を提出し泣き寝入りするようなことはしたくない。」
といった最後の抵抗に似た行動なのです。


解雇であっても、30日前に解雇予告していれば、解雇予告手当の支払い義務は免れるのですが、会社は、ちょうど助成金の支給申請を控えており、会社都合退職者(=解雇者)を出すことによって、今まで準備してきた計画が水の泡になってしまうということもあり、対応に困っていました。

解雇という手段を取らないのであれば、他に策はあります。

会社側としては「解雇は考えていないので明日から出社するように。雇用関係が続いている以上、出社して労働力を提供する義務があること。それができないのであれば、それなりの手続きを踏むこと(健康保険被保険者証の返却・退職届の提出等)。」を何度も伝えます。通常、一度会社に啖呵を切ってしまった以上、再出社してまた元の鞘に戻るというケースはほとんどありません。普通の神経であれば、針のむしろに他ならないですよね。
問題社員も新たな転職先のことを考えなければならないし、いつまでも長期的に出社拒否し続けるわけにはいかないので、落ち着いたところで退職届を提出してくるパターンが比較的多いと思われます。

ちなみに、B君もそのような結果となりました。

時間が経てば解決するケースもあるので、早急に解決しようと思わず、トーンダウンするのを待つのも1つの策かもしれません。


● 編集後記 ●

不特定多数の方に対してのメルマガなので、お伝えできる範囲は限られてしまうのですが、このパターンの対処法は多岐に渡ります。
トラブルのケース、また労働者の性質によっても異なるところです。
ある意味、賭けにでるようなことも時として必要ですが、そこは経営者の直感や嗅覚が正直ものを言うところです。(苦笑)
印刷用ページ