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従業員の多様なニーズに応えるために

2013年07月22日
おはようございます。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。

今日は、「従業員の多様なニーズに応えるために」をテーマにお話させていただきます。


従業員を雇用している中で、従業員からさまざまな要望があるかと思います。
従業員の要望を何でも取り入れていたら、会社は大変なことになります。
ただ、できることなら、従業員の働きやすい環境を整えてあげたいと考えている事業主が多いのも事実です。

従業員の要望に対して、会社としてどう対応すべきか以下の事例をもとに考えてみたいと思います。

「今、育児休業法の時間短縮の制度を利用し、6時間勤務の従業員がいるんですけど、もうすぐ子供が3歳になるので、元の8時間勤務に変えてもらおうと思っているのです。うちの会社は正社員は、みんな8時間勤務+残業で、彼女だけいつまでも特別扱いというのは、周りが納得しないのです。法的に何か問題ありますか?」

よく、会社側から耳にするご相談です。

育児休業法では、原則、事業主は、3歳未満の子供をもつ労働者に対して請求に基づき所定労働時間を 短縮する措置(1日の所定労働時間を6時間とする措置を必ず含む)を講じなくてはなりません。

しかし、育児休業法で守られているのは、3歳未満の子供をもつ労働者に対してであって、3歳以上就学前のの子供を養育する労働者に対しては、短縮措置は義務ではなく「努力義務」にすぎません。

法的に義務はないからと言って、3歳になるタイミングで元の8時間勤務+残業有の働き方に当然のように変更してもらう、変更できなければ辞めてもらうしかないでは、あまりにも従業員にとって酷なように感じます。


会社に体力があれば、また周囲の理解・協力があれば、就学前まで短時間勤務を認める、子供の年齢にかかわらず短時間正社員の制度を設けるなどの対応が考えられます。

とは言え、理想通りにはいかない企業が多いのが現状です。

どうしても無理なようであれば、パートタイマーへの転換等、雇用形態を変えてもらうことで時間短縮に類似する措置を取るのも1つの方法かもしれません。
ただ、パートタイマーへの転換に伴う大幅な処遇の変更(賃金の減額等)は、それまで正規で働いてきた従業員にとっては、受け入れがたいのも事実です。
私の周りには、背に腹は代えられぬという気持ちでパートタイマーに転換された方もいました。

結論としては、これが一番!といった解決方法はありません。
会社の現状、従業員の状況等をもとにお互いに話し合いの中で解決していくしかありません。

一点気を付けるべき点は、従業員によかれと思って図った特別の措置が、前例となり、今後同様の人が出てきた場合もそれを認めざる得ない状況にもなりかねませんので、彼女はずいぶん長く会社に勤務してくれて常日頃よくやってくれるから・・・、という理由で、安易に要求を呑むこともあまりオススメできません。

従業員を統制していくことも会社として重要な役割であり、悩ましい問題です。


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https://www.sugiyama-sr.com/







編集後記 ●

実際、私の周りでも就学前の子供を養育していて、フルタイム勤務(+残業)といった形で働いている人は一握りです。そういった働き方を選ぶ人は、毎日保育園に夕食を依頼し、通常のお迎え時間は20時前(夕食終了時)です。遅いときは、21時、場合によっては22時ってこともあるのかもしれません。

いろいろ事情はあるのでしょうが、子供にとってかなり負担を強いることになるので、ちょっとかわいそうに思えたりもしました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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