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退職勧奨による退職の場合の注意点

2013年09月22日
おはようございます。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。
 
 
今日は、「退職勧奨による退職の場合の注意点」をテーマにお話させていただきます。
 
問題社員に会社を辞めてもらいたいときに、
解雇ではなく、退職勧奨をして会社を辞めてもらう方法があります。
解雇となると解雇の合理性を巡っていろいろとトラブルに発展するケースがあるので、退職勧奨し、従業員に納得してもらった上で円満に辞めてもらいたいといった意図が会社側にはあります。
 
退職勧奨は解雇とは違い、従業員側に退職勧奨に応じるか応じないかの選択権があります。
しかし、退職勧奨に応じなければ、解雇となる場合があります。
解雇されないまでも、今までと同じような処遇・環境で働けるケースは少ないでしょう。
 
よって、退職勧奨をされた従業員は退職を拒む権利があっても、現実には、退職を余儀なくされる場合が往々にしてあるのです。
 
退職勧奨によって退職した場合によく問題となるのが離職証明書の離職理由についてです。
 
会社側の多くは、会社の体面や助成金の受給要件の関係もあり、極力退職理由を「自己都合退職」としたいようですが、
従業員側は、本意ではなく会社を辞めることになったのだから「会社都合退職」だという捉え方をする場合が多いのです。
従業員側が、離職理由を「会社都合退職」にこだわるのは、「自己都合退職」だと失業手当の給付までに3ヵ月の制限期間が生じてしまうからです。
 
どちらの考え方も間違いではありません。
退職勧奨に合意して「退職届」を提出した場合は、自己都合退職とも解されます。
双方の認識の違いです。
 
離職証明書に離職理由を「退職勧奨」と記載するのであれば、何ら問題はありません。
「退職勧奨」であれば「会社都合退職」として取り扱われ給付制限対象とはならないからです。
 
しかし、どうしても「自己都合退職」として手続きしたいのであれば、双方の退職に対しての認識の違いから後々トラブルにならないように従業員に退職届を提出してもらいましょう。
退職勧奨に応じた合意退職と捉えていない従業員であれば、一身上の都合として「退職届」を提出することを固く拒否してくるはずです。
 
 
とにかく、でき得る限り、双方納得のいく円満退職をめざしてください。
 
 
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● 編集後記
 
本来であれば、退職勧奨をされる前に、会社の意を察知し自ら身を引くことが美徳だと思っています。
私がこれまでいた職場では、会社が期待しているだけのパフォーマンスが出せない人は、肩身が狭く居心地が悪くなって、プライドから自らを正当化して辞めていくのが、一般的な姿でした。
人には適材適所があるので、自分にあった職場を他に探すことはいいことだと思います。
 
ただ、実際には、退職勧奨されても、自分には何も非がない、退職勧奨には納得いかない、と思っている従業員が多いため、退職勧奨も一筋縄ではいかないようです。
 
よって、退職勧奨するときには、残った年次有給休暇の買い取りや1ヵ月分の給与の支払いなどでもって譲歩する餞別付退職勧奨がよく見受けられます。
退職時に餞別まで手向けられ笑顔で見送られると、これまでの恨みつらみが帳消しになる場合だってありますからね。(笑)
 
腹の中はともかくとして、「円満退社」第一です。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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