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パート・アルバイトの年次有給休暇の賃金の計算方法

2016年01月20日

こんにちは。
社会保険労務士の杉山 加奈子です。

今回は、「パート・アルバイトの年次有給休暇の賃金の計算方法」を
テーマにお話させていただきます。

前回のメルマガでは、パート・アルバイトにも年次有給休暇を与えなくては
いけない旨、お伝えさせていただきましたが、「年次有給休暇の賃金の計算方法」
について意外とご存じない方も多いようです。

というのが、残念ながら、年休は月給制の正社員のみに付与すればよくて、
時給制のパート・アルバイトには関係ないという考え方が前提になっているからです。

月給制の正社員が有休を取得した場合は、有休の取得日に対して賃金を払う
といった感覚はあまりないと思います。

「賃金を差し引くことなく労働を免除する。」といった捉え方が一般的です。

これは月給制の方が月に支払われる賃金がベースになっている為です。

しかし、時給制のパート・アルバイトに関しては、働いた時間数に応じて賃金を加算
していくため、有給休暇を取得した日に対して賃金を払うといった考え方になります。



では、シフト制で日によって働く時間が異なるパート・アルバイトの場合は、
賃金はどう計算すればいいのでしょうか?


有給休暇の賃金は、いずれかの方法により計算します。

1.平均賃金(過去3ヵ月間における1日あたりの賃金)

2.通常の賃金(所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金)

3.標準報酬日額(健康保険法)


通常、就業規則に規定されますが、2の通常の賃金が一般的に用いられる計算方法です。

しかし、日によって働く時間が異なるパート・アルバイトには、1の「平均賃金」を
用いることの方が多いようです。

2の「通常の賃金」にすると、労働時間が6時間より8時間のシフト日に有休を取得
した方が2時間分多く賃金が支払われるといったバランスの悪いことになるからです。

そもそもシフト勤務のパート・アルバイトは、シフトは組まれた後に有給休暇を申請
するよりも、シフトが組まれる前に有給休暇を充てるのが一般的な方法ですので、
1の「平均賃金」を用いるのが最も自然です。

3の標準報酬日額は、実務ではほとんど用いられない方法なので、ここでは割愛させて
いただきます。


シフトで働くパート・アルバイトの方は、休みたい日にシフトに入らなければいい、
勤務表にわざわざ有給休暇を充てるといった考え方が分からない、
とお考えになる事業主の方もまだまだいらっしゃいますが、今の世の中、週2〜3日
シフトのアルバイト・パートだって正当な自分の権利を主張する時代なのです。


法を遵守して従業員の権利を守ることは、長い目でみれば、働きやすい労働環境を
生み出し生産性向上に影響するものなのです。


「損して得取れ!!」の考え方ですね。



● 編集後記 ●

先日の生放送でのSMAPの会見、特にファンというわけでもありませんが、社会問題(!?)
となっている一大事だけあって見入ってしまいました。

SMAPメンバーは芸能人といった特性ゆえ、労働基準法上の労働者には当たりませんが、
25年間も同じところに所属していると、様々な状況で歪が生じていたのですね。

いろんなことに通ずることですが、
「損して得取れ!!」
理不尽なことや納得できないときに自分自身に言い聞かせている私の座右の銘です。(*^^*)


最後までお読みいただき、ありがとうございました。 
 

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